は主要な貴金属先物市場が週末休場のため、ここでは直近のフルセッションである2月6日(金)を振り返ります。この日は、序盤に激しく売り込まれたあと、モメンタムが急反転し、終盤に買いが強まって金価格が再び心理的節目の5,000ドル方向へ引き戻された一日でした。
引け時点で、スポット金は約4,954.92ドル/オンス(+約3.9%)、米金先物は約4,979.80ドル(+約1.8%)。ただ、重要なのは終値よりも“道中”です。期近のCOMEX金はおおむね4,655〜4,958.50ドルと非常に広い日中レンジを形成しました。「安全資産」でも、レバレッジと流動性がぶつかる局面では高ベータ資産のように動く——それを改めて示した形です。
アジア序盤:「まず売る」が復活—金は4,655ドル付近へフラッシュ、銀はスポット65ドル割れ
この日の始まりは、ここ2週間で繰り返された反射的な動きでした。早い時間帯に換金売り(ポジション整理)が出て、金は4,600ドル台半ばまで急落。その中で、COMEX金の4,655ドル近辺が最初の重要水準となりました。ここを明確に割り込むと、単なる揺さぶりではなく、売りが継続する“続落局面”へ移るリスクが意識されたからです。
銀の序盤はさらに荒く、スポットは一時65ドルを下回る場面がありました。先物でもボラティリティは極端で、当日のレンジは概ね68.71〜77.32ドル。強制的な投げ売りと押し目買いが真正面からぶつかった一日だったことが、レンジ幅にそのまま表れています。
デスクでよく出る見方としては、こうです:
銀が下方向で先行する時は、マクロの再評価というより“ポジションの歪み(レバレッジ負荷)”が表に出ていることが多い。
銀はレバレッジの受け皿になりやすく、ストレスが最初に出やすいからです。
欧州時間:ドルが軟化—押し目買いが“レベルごと”に入り始める
欧州時間に入ると、ドライバーは「売り一色」から通貨要因へ移りました。ドル指数が約0.2%下落し、ドル建ての貴金属には機械的な追い風。ここでシステム系も含めた“押し目買い”が入りやすくなります。
このあたりが最初の明確な転機でした。金は4,700ドル台後半を回復し、さらに4,900ドル台へ。4,900ドルはその日の心理的なピボット(分岐点)になり、週前半まで「戻り売りが効きやすかった」地合いが、少しずつ変わっていきます。遅れて売った側が不利になり始め、短期の追随勢は下げを買う動きへ姿勢を変えざるを得なくなりました。
(架空コメントですが、当日の値動きの感覚には合っています)
「恐怖はまだ消えていない。ただ、この相場は“遅れて売る人”を罰し始めている。今は見通しに固執せず、レベルで取引する相場だ。」
米国時間午前:指標は出るが、テーマは変わらず—金は4,950ドルを再テスト
米国時間には、ミシガン大学の消費者信頼感指数が6カ月ぶり高水準となるなど、マクロ指標の“ノイズ”も入りました。ただ、貴金属の方向性を決めたのは単発の統計というより、ドルの緩みと金利観測の揺れが続く、という一貫したテーマです。
この時間帯から金の戻りはやや秩序立ってきます。ショートスクイーズの一撃というより、「押しが浅くなり、高値・安値が切り上がる」二方向トレード。焦点は“跳ねるか”ではなく、4,900ドルを維持できるか、そして次の磁石である5,000ドルに向けて足場を作れるか、へ移っていきました。
中盤の重要背景:証拠金引き上げ—レバレッジは後退、ただし買いは残る
この日を通じた大きな下地は、過熱を冷ます動きです。取引所側が証拠金(マージン)引き上げを実施し、金は8%→9%、銀は(口座区分によって)**15%→18%**へ。2月6日引け後から適用という流れでした。
証拠金引き上げは両刃です。
- 追加担保が出せない参加者は投げざるを得ず、下押しを強めることがある。
- ただし、投げが一巡すると“熱い資金”が減り、値動きが落ち着くこともある。
金曜の値動きは、後者の要素が目立ちました。序盤の“空洞的な下落(エアポケット)”が先に起き、その後は「フラッシュの時点で相当のデレバレッジは進んだ」と市場が認識し、買いが戻りやすくなった、という構図です。
終盤:金は4,955ドル近辺まで修復、銀は70ドル台半ばを回復
終盤、金はその日のテクニカルな傷をかなり修復しました。スポットは4,954.92ドル付近へ戻り、COMEXの上限も4,958.50ドル近辺。明確な上抜けではないにせよ、5,000ドルが再び“近い目標”として意識される水準まで回復しました。
銀はこの日の主役級の乱高下でした。序盤にスポットで65ドル割れを見せた後、終盤にかけて**77.33ドル付近(+約8.6%)**まで急反発。ただし、週単位では大きく下げた痕跡が残っており、買い戻しが強くても“傷は消えていない”という印象です。
来週の焦点:金は5,000ドル、銀は80ドル—そして2月13日の米CPI
来週の作戦はシンプルになりそうです。
金(Gold)
- まず4,900ドルが第一サポート
- 5,000ドルを上で定着できるかが、心理面の“トレンド確認”になりやすい
銀(Silver)
- 70ドル台半ばが再受け入れゾーン(ここを維持できるか)
- 上は80ドルが視野、下は先物の高60ドル台やスポット65ドルの再テスト警戒
マクロの次の大きな予定は、**2026年2月13日(米東部8:30)**の米CPI(2026年1月分)。ドル、実質金利、利下げ時期の見通しを一気に動かし得るため、貴金属も再び大きく振れやすい局面になります。
