土曜の暗号資産マーケット(2026年2月7日)は、荒れた1週間のあと「立ち上がろうとしている相場」に見えました。序盤は勢いよく上昇したものの、利確が早く、流動性も薄いまま。結果として、重要な価格帯(レベル)からレベルへと振らされる展開が繰り返されました。

ビットコインは日中に大きく振れ、安値は66,101ドル近辺、高値は71,612ドルまで上昇。その後は上値が重くなり、終盤は6万ドル後半での推移が中心となりました。

この「荒い値動き」は突然起きたわけではありません。背景には、木曜にビットコインが一時61,000ドル付近を割り込む場面があり、その後の金曜に70,000ドル台を回復する強い戻りが入ったことがあります。複数のデスクが、戻り局面には**ポジション調整やショートの踏み上げ(強制的な買い戻し)**が影響した可能性を指摘していました。

以下では、時間帯ごとに「勢いの変化」「センチメントの揺れ」「トレーダーが意識したテクニカル水準」を中心に整理します。


オーバーナイト:買いは戻るが、自信はまだ脆い

序盤は比較的しっかりしたスタートでした。前日の“リリーフラリー(急落後の安心買い)”の流れを引き継ぎ、価格はじわりと上方向へ。70,000ドルに近づき、場面によっては上抜ける動きも見られました。

ただし、トレンドが一直線に伸びる「素直な上昇日」とは質感が違います。市場で意識されたのは、暗号資産市場の板の薄さ(オーダーブックの流動性低下)です。流動性が薄いと、2025年に慣れていたよりも小さなフローで価格が大きく動きやすく、ストップを巻き込みながら“空洞(エアポケット)”のように急落・急騰が起きやすくなります。

※以下は架空のデスクコメントですが、当日の相場感には沿っています:

「この相場は物語(材料)よりも“レベル”が効く。流動性が薄いなら、上抜けてもフォローが続くとは限らない。結局、ブレイクは“再テスト”に耐えられるかどうかだ。」

序盤の注目水準

  • 70,000ドル:リスクオン/オフの分岐点(ピボット)
  • 60,000〜61,000ドル:週前半の急落で意識された“最後の防衛線”のイメージ

中盤:急落で66Kを試し、信念が試される

中盤に入るとムードが一変。ビットコインは失速し、そのまま売りが加速して66,101ドル近辺まで急落しました。

このように「速く、音が大きく、特定のニュースと結びつきにくい下げ」は、まさに薄商いの相場で起きやすい形です。ストップが連鎖し、買い板が一時的に引っ込み、しかし一定水準に到達すると再び買いが戻ってくる——当日はその流れが鮮明でした。

テクニカルが“語った”ポイント

  • 66,000ドル台:当日の最重要サポート(ここで売りの進行が止まった)
  • 70,000ドル:強気派が主導権を取り戻すための“奪還ライン”

なお、イーサリアムも同様に荒く、日中に1,914.82ドルまで下げた後、2,113.04ドルまで戻すなど、ベータ(値動きの大きさ)が一気に戻ったことが分かります。


終盤:71K超えを試すも、上では売りが厚い

66Kのテストが耐えられたことで、今度は買いが優勢に転じました。ビットコインは勢いよく上伸し、71,612ドルまで到達。短期筋の売り方は踏まされやすく、ブレイクアウトの雰囲気も一瞬戻りました。

ただし、その勢いは継続しませんでした。71,000ドル台では売りが素早く出て、価格は反落。「上に走って終わり」ではなく、「上で叩かれて揉み合いへ」という形に移行しています。

記憶に残るレジスタンス

  • 71.6K(当日高値):上抜け失敗の天井ライン
  • 70K:依然として見出し・センチメントを左右する心理的節目

引けのトーン:68K近辺で荒い持ち合い

終盤、ビットコインは熱が冷め、チェック時点で67,840ドル前後へ。方向感が一本化するよりも、短時間でモメンタムが切り替わる“往復相場”で、薄い流動性がそれを強調した一日でした。

大きな視点では、投資家は引き続き**金融環境(ドル金利・ドル高・FRBのバランスシート姿勢)**に敏感です。仮にFRBの引き締め色が強まる(流動性が締まる)方向に市場が織り込めば、暗号資産のようなリスク資産には逆風になりやすい、という見方も残っています。

本日の“実務的”レベル地図

  • サポート:まず66K、次に週安値ゾーンの60K〜61K
  • レジスタンス:まず70K、次に71.6K(直近の上値の壁)

来週:マクロ指標が戻る—暗号資産もそれを“取引する”

次の材料は、必ずしも暗号資産固有ではありません。焦点は米国のマクロ指標です。本文の前提では、雇用統計(Employment Situation)は2026年2月11日、**CPI(2026年1月分)は2月13日(米東部8:30)**が予定されています。こうしたイベントは金利やドル、そしてリスク許容度を動かし、結果として暗号資産にも波及しやすくなります。

暗号資産トレーダーにとっての要点は2つです。

  1. 70Kの扱い:指標由来のボラティリティ後に、70Kを回復して維持できるか。
  2. 薄い流動性への警戒:板が浅い環境では、価格が“レベル間で飛ぶ”ことがある。物語よりも、日中の高値・安値や節目の反応が重要になりやすい。
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投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

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