本日の貴金属市場では、金先物が比較的堅調なスタートを切った。アジア時間序盤、前日の米ドル高が一服したことを背景に、金価格は小幅ながら上昇して取引を開始した。特にアジア勢からは実需ベースの買いが入り、価格は前日レンジ上限を試す動きを見せた。

市場では、地政学リスクや世界経済の減速懸念が引き続き意識されており、金は安全資産として底堅い需要を維持しているとの見方が優勢だった。

欧州時間:ドル反発で上値を抑えられる

しかし、欧州時間に入ると状況は一変する。ユーロ圏の経済指標を受けてドルがやや持ち直すと、金価格は上昇の勢いを失った。ロンドン時間中盤には、日中高値からまとまった売りが出て反落し、一時は前日終値付近まで押し戻された。

この時間帯では、「金は依然としてレンジ相場から抜け出せていない」との声も多く、短期トレーダーによる戻り売りが目立った。テクニカル的にも、直近高値がレジスタンスとして機能した形となった。

米国時間:金利低下で再び買い戻し

米国時間に入ると、金市場は再び方向感を取り戻した。米国債利回りが低下し、実質金利が下向いたことで、金の投資妙味が再評価された。特にインフレ指標に対する市場の反応が落ち着いたことで、「金利上昇一服=金にとって追い風」という構図が意識された。

Bloombergも米国時間の動きについて、「金利低下が金価格を押し上げ、安全資産としての魅力が再び強まった」と伝えている

この流れを受け、金先物は再び上昇に転じ、日中安値から大きく切り返す展開となった。

終盤:方向感を残したまま引け

終盤にかけては、積極的な新規材料は乏しかったものの、売り圧力は限定的だった。結果的に金価格は小幅高で取引を終え、下値の堅さを印象付ける一日となった。

テクニカル面では、重要な移動平均線を維持したことがポジティブに受け止められており、市場では「次の材料次第で上抜けを試す余地がある」との見方も出ている。

今後の見通し

本日の金相場は、金利とドルの動向に左右されやすい現状を改めて示した。今後は米国の経済指標、金融政策を巡る発言、そして地政学リスクの行方が注目される。短期的にはレンジ相場が続く可能性もあるが、安全資産需要が再び強まる局面では、上方向への動きが意識されやすい状況だ。

アバター画像

投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です