スポット金は米国時間序盤、前日の高値近辺となる1オンスあたり約4,160ドルをやや下回る水準で取引を開始し、投資家は金融政策見通しに関するまちまちなシグナルを消化していた。序盤の値動きは限定的で、スポット価格は4,150〜4,160ドルの狭いレンジ内でもみ合い、出来高も方向感の乏しい小口の投機的取引が中心とみられた。前日の上昇を受けて一部トレーダーは、さらなる上伸よりも一旦の調整局面を見込んで短期利益確定を優先したもようだ。ある貴金属ストラテジストは、「価格は堅調さを保っているものの、新たな材料が乏しい中で、投資家は追随買いに慎重だ」と述べた。
正午前後:利益確定と利下げ時期への不透明感
昼頃になると売り圧力が強まり、スポット金は約0.3%安の4,153.50ドル前後まで下落、12月限先物も約0.5%安の4,150ドルまで押し戻され、約2週間ぶり高値圏から反落した。
背景として、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始時期をめぐる不透明感が再燃したことが挙げられる。労働市場の軟化を理由に12月利下げを支持する地区連銀関係者がいる一方で、インフレ鈍化の明確な証拠を待つべきだと慎重な姿勢を示す当局者もおり、市場の思惑は交錯している。
金の支えとなっていた債券利回り低下の流れも一服し、「利息を生まない資産」としての金を押し上げていた一因がやや後退した。ただし、国債利回りは依然として1カ月ぶりの低水準圏にとどまっており、下値を大きく崩す展開には至っていない。

午後:レンジ内での持ち合いとテクニカルな下支え
米国時間の午後にかけて、市場は次第に落ち着きを取り戻し、金相場は4,150ドル前後で下げ止まった。スポットは4,150〜4,155ドルのレンジで推移し、出来高も縮小。市場参加者は、今後の経済指標や要人発言など、より明確な手掛かりを待つ姿勢を強めた。アナリストの一部からは、「利下げ見通しをめぐる不透明感が残る中、投資家はオプションやヘッジ取引を通じたポジション調整を優先している」との声が聞かれた。
テクニカル面では、4,145ドル近辺が重要なサポートとして意識されており、ドル安や利回り低下が再度強まれば、同水準を起点とした押し目買いが入りやすい状況だ。一方、上値については4,165〜4,170ドルのレンジをしっかりと上抜けできるかどうかが次の焦点となる。
引けと今後の見通し
ニューヨーク午前の取引終了時点で、金は小幅安で引け、日中レンジの中ほどでの着地となった。全体としては「堅調だが慎重」というトーンで、今回の反落は天井打ちというよりも、前日までの上昇に対する利益確定が中心とみられる。ただし、新たな強材料が乏しい中で、上昇モメンタムには一服感も出ている。
今後に向けては、経済指標やFRB高官の発言など、利下げ時期を巡る新たな手掛かりが注目される。利下げ期待が再び強まれば金相場は反発する可能性がある一方、見通しが曖昧なままであれば、当面はレンジ相場が続くとの見方も多い。
