EVP Market は、外国為替(FX)・暗号資産・株式・債券・ETF・コモディティ・株価指数 など、幅広い取引商品を提供していると主張するオンラインブローカーです。
一見すると洗練されたウェブサイトを持つように見えますが、詳細に調べると、同社の登録・規制情報の多くが他社からの転用であることが判明しました。

虚偽のライセンス表示、曖昧な連絡先情報、そして新規登録されたばかりのドメインなど、EVP Market は正規性の確認が取れないオフショア業者の典型的特徴を示しています。


1. 企業背景と登録情報

1.1 他社情報を不正に利用

EVP Market は、自社がヨーロッパのブローカーであり、Key Way Investments Limited によって運営され、TRADE POINT PTY によって管理されていると主張しています。また、オーストラリア証券投資委員会(ASIC) による規制を受けているとも述べています。

しかし、ASIC および関連する公的データベースを確認したところ、これらの企業は実在しているものの、EVP Market とは一切関係がないことが明らかになりました。

1.2 法的実体の欠如

EVP Market 自体の法人登録情報は、どの国の商業登記にも存在していません。
そのため、実際に誰がこのプラットフォームを運営しているのか確認できず、投資家にとって重大な不透明性をもたらしています。


2. ドメインとウェブサイト情報

2.1 登録からわずか数か月の新規サイト

Whoisデータ によると、公式サイト evpmarketgroup.com2025年6月27日 に登録され、同日に更新されています。
さらに Wayback Machine の記録によれば、2025年8月時点でわずか 2回しかアーカイブされていません。

2.2 短期ドメインが示す不安定性

金融業界では、ドメインの運用期間の長さが信頼性の重要な指標となります。
EVP Market のように1年未満の短期登録・実績なしの運営形態は、安定性や継続性の欠如を示しており、短期的な活動や一時的なサイトである可能性が高いです。


3. 規制ライセンスの虚偽表示

3.1 世界の主要規制機関を名乗る誤情報

EVP Market はウェブサイト上で以下のライセンスを保有していると主張しています:

  • キプロス証券取引委員会(CySEC)
  • 英国金融行動監視機構(FCA)
  • ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)
  • ポーランド金融監督局(PFSA)

しかし、各機関の公式データベースを確認した結果、EVP Market とこれらのライセンス企業との関連性は一切見つかりませんでした。
記載されているライセンスはすべて別の正規企業のものであり、EVP Market とは無関係です。

3.2 「借用ライセンス」という欺瞞的手法

他社の登録番号やライセンス情報を流用する手口は、詐欺的ブローカーが正規業者を装う典型的な手法です。
このような偽りの表示は、投資家に「規制されている」という誤解を与えるだけで、実際には法的保護を一切受けられません。


4. 取引プラットフォーム

4.1 業界標準ソフトを提供せず

一般的な正規ブローカーが採用する MetaTrader 4(MT4)MetaTrader 5(MT5) の提供はなく、EVP Market は「独自の取引プラットフォーム」を使用しているとだけ説明しています。
しかし、機能の詳細・画面イメージ・デモ環境などは一切公開されていません。

4.2 検証不可能なシステムのリスク

外部検証を受けていないプラットフォームでは、注文執行の透明性・価格操作の有無・サーバー安定性などを確認する手段がなく、
実際の取引データが正確である保証もありません。


5. 口座タイプと取引条件

5.1 情報不足のまま並べられた6種類の口座

EVP Market は、Basic、Essential、Classic、Original、Premium、Signature の6つの口座を提供しているとしています。
しかし、レバレッジ・手数料・スプレッド といった重要な取引条件は一切明示されていません。

5.2 見た目だけの「多層構造」

見かけ上の「口座ランク制」はマーケティング目的で設計された可能性が高く、
実際の運用上の違いや費用構造を確認できない点で、透明性に欠けています。


6. 教育リソース

6.1 表面的なコンテンツのみ

EVP Market の「アカデミー」には、初歩的なチュートリアルや市場概観、ウェビナーが掲載されていますが、
すべて内容が浅く、実践的・専門的な分析や戦略的指導は存在しません。

これは、教育セクションを「信頼性演出のための装飾」として利用している典型的な例です。


7. 入出金方法

7.1 詳細不明な決済構造

入出金手段として VISA、MasterCard、Neteller、Skrill、Maestro、銀行送金 をサポートしていると記載されています。
しかし、手数料・処理時間・出金条件 などの具体情報は一切開示されていません。

7.2 不透明な資金処理の懸念

正規ブローカーであれば、KYC手続きや手数料体系を明確に示すのが一般的です。
EVP Market のように不明瞭なままでは、資金の引き出し遅延や拒否リスク を伴う可能性があります。


8. 連絡先と運営拠点

8.1 メールのみの連絡手段

EVP Market が提供しているのは [email protected] のみで、
住所・電話番号・法人所在地 は記載されていません。

8.2 実体の見えない運営体制

国際的な金融サービスを提供する企業として、これほど匿名性の高い運営は極めて異例です。
連絡手段が限定されている時点で、顧客サポートの信頼性にも疑問が残ります。


9. ソーシャルメディアの不在

9.1 実際には存在しないSNSアカウント

公式サイトにはFacebookやLinkedInなどのSNSアイコンが表示されていますが、
リンクはいずれも機能しておらず、実在するアカウントは確認できません。

9.2 情報発信ゼロ=透明性ゼロ

正規のブローカーであれば、SNSを通じて取引情報や市場動向を発信するのが通常です。
EVP Market のように完全に沈黙しているケースは、透明性の欠如を象徴しています。


10. ウェブサイトトラフィック

10.1 実質的な利用者ゼロ

Semrushデータ によると、EVP Market のサイト月間アクセス数は ほぼゼロ
市場での認知度も非常に低く、実際に活動しているユーザーがほとんどいないことを示しています。

EVP Market よくある質問(FAQ)

1. EVP Market は信頼できますか?

いいえ。登録や規制の証拠がなく、他社の情報を流用している可能性があります。

2. 規制を受けていますか?

受けていません。ASICやFCAなどのライセンスを名乗っていますが、いずれも他社のものです。

3. サイトはいつ作られましたか?

公式サイトは 2025年6月27日 に登録された新しいドメインです。

4. どんな商品を取引できますか?

FX、暗号資産、株式、ETFなどを扱うとしていますが、詳細は非公開です。

5. 取引プラットフォームは?

MT4やMT5はなく、独自ソフトを使うとしていますが、実際の情報はありません。

6. 連絡方法は?

メール([email protected])のみで、住所や電話番号はありません。

7. SNS アカウントはありますか?

いいえ。表示されているSNSアイコンはすべてリンク切れです。

8. 主なリスクは?

無登録・無規制、情報の不透明性、連絡手段の欠如などが挙げられます。

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投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

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