アジア~欧州時間:序盤の上昇

東京時間のオープン時、EUR/USDは1.1025付近で小動きとなり、アジア市場では全体的に落ち着いた展開となった。欧州市場入りにかけてユーロ買いが強まり、09:30(GMT)頃には1.1065まで上昇。短期筋のショートカバーが進み、20時間移動平均線(1.1050付近)を上抜けたことでテクニカル的な買いが加速した。
ある市場ストラテジストは「このブレイクアウトは、日中の強気モメンタムの始まりを示唆している」とコメントした。

欧州正午:貿易統計サプライズで急伸

欧州時間の正午過ぎ、ユーロ圏の貿易統計が予想を上回る改善を示したことを受け、EUR/USDは一段高となった。13:45(GMT)頃には1.1132の高値を記録し、直近のレジスタンスである1.1140水準を試す展開に。取引量も増加し、ロンドン午後には市場のポジションがネットショートからフラット、あるいはロングへと転換する動きが見られた。
アナリストは「ユーロ買いが優勢となり、ドルが軟化する中で、EUR/USDは重要レジスタンスを突破した」と指摘した。

米時間:雇用統計を受けて反転下落

しかし、15:30(GMT)発表の米雇用統計(NFP)と失業保険申請件数が市場の流れを一変させた。NFPのヘッドラインは予想を上回ったものの、失業率の上昇がドル買いを誘発。EUR/USDは1.1130から急落し、1.1080を割り込み、17:15(GMT)には1.1045付近のサポートを試した。
FXストラテジストは「米雇用データがFRBのタカ派姿勢を示唆したことで、リスクオンの流れが一気に後退した」と分析している。

終盤:下値を模索、今後の焦点

ニューヨーク終盤では、EUR/USDは1.1050付近で下げ止まり、50時間移動平均線(1.1035付近)が一時的な下支えとなった。日中レンジは高値1.1132、安値1.1023で、約110pipsの変動幅。序盤はユーロ買いが優勢だったが、終盤はドルの底堅さが再び意識された。
今後は、米コアインフレ指標やFOMC議事要旨の内容が注目されており、1.1030のサポートと1.1150のレジスタンスが焦点となる。

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投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

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