アジア時間:静かなスタート

金先物はアジア時間、前日比ほぼ変わらずの**$2,270/オンス**付近でスタート。市場参加者は様子見姿勢を強め、ドル指数(DXY)は96.50近辺で底堅く推移した。アナリストは「明確な材料が出るまでは、$2,260~$2,290のレンジ内での推移が続く」と述べた。

午前:地政学リスクで上昇、ETF資金流入も

午前中、中東情勢をめぐる新たな地政学リスク報道を受けてリスクオフムードが広がり、金は安全資産として買われた。11:30(ET)頃には**$2,305/オンス**まで上昇し、心理的節目の$2,300を突破。取引量も急増し、ETFへの資金流入が強まった。
テクニカル面では、直近レジスタンスである$2,295を明確に上抜けたことで、日中の強気トレンドが確認された。

米時間:ドル高と債券利回り上昇で反落

しかし、米国時間午後に入ると流れが一転。ドル指数は96.90付近まで上昇し、米10年債利回りも4.30%近辺へ上昇。これにより金の上値は抑えられ、15:45(ET)には$2,280/オンスまで下落。
あるコモディティ・ストラテジストは「米国債入札が好調だったことで金利が上昇し、金の保有コストが意識された」と指摘した。$2,285付近のサポートを割り込むと利確売りとショートカバーが入り、一時的に下げが加速した。

終盤:持ち合い形成、今後の注目点

最終的に金は**$2,278/オンス**で取引を終え、日中レンジは$2,269~$2,305。序盤はリスク回避による上昇が目立ったが、終盤はドル高と金利上昇が重石となった。
今後は、米消費者物価指数(CPI)の発表と実質金利動向が焦点。テクニカル的には、サポート$2,270、レジスタンス$2,315が次の注目水準となる。

詳細情報

アバター画像

投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です