朝の強さ:序盤の買い優勢

コモディティ市場は堅調に取引を開始し、ブレント原油先物 と産業用金属の上昇が主導しました。原油価格はおよそ 65.70ドルから66.80ドル/バレル まで上昇し、アジアのエネルギー需要見通しや株式市場の上昇が追い風となりました。トレーダーは、アジアの輸入需要への楽観や OPEC+ による供給抑制の可能性を主な要因として挙げています。

銅先物 もこれに連動し、勢いが鈍化する前に 1トンあたり9,600ドル付近 まで上昇しました。テクニカル面では、価格が50時間移動平均線(約9,540ドル)を回復したことで買いが強まりました。アナリストは「この上昇は短期的なポジショニングによるもので、根本的な変化ではない」と指摘し、米国の在庫データ 次第で展開が左右されると警告しました。


正午の反転:ドル高と供給懸念が圧力

昼頃になると、市場心理は慎重に転じました。米ドル指数 の反発と原油在庫の意外な増加が利益確定売りを誘発しました。ブレント原油は 65.40ドル まで下落し、銅も 9,470ドル付近 まで後退しました。

トレーダーによれば、ブレント原油の 66.50~66.80ドル付近の抵抗線 が3日連続で上昇を抑制したとのことです。あるコモディティ戦略家は「このレンジを突破できなかったことで、モメンタム系ファンドが一斉に売りへ転じた」と述べました。同様に、銅も9,600ドルを維持できず、アルゴリズム取引による売り圧力が高まりました。

また、OPEC+の増産観測 が報じられ、世界的な供給懸念が再燃。コモディティ関連通貨もリスク回避ムードに押されて軟調となりました。


午後の安定:レンジ相場入り

午後の取引では、原油とベースメタルが共に狭いレンジで推移しました。ブレント原油は 65.30~66.00ドル の範囲で上下し、銅は 9,520ドル付近 で小動き。新たな材料がない中、トレーダーは翌日の EIA原油在庫報告 を前にポジション調整に動きました。

テクニカル的には中立基調です。原油の20時間移動平均線は66.10ドル付近で短期的な抵抗線となり、サポートは65.30ドル付近。銅では 9,450~9,500ドル帯 が重要なサポートゾーンとなっています。

取引量は午後後半にかけて減少し、市場参加者は勢いを追うよりも、今後発表される マクロ経済データ を見極めようとしている様子がうかがえます。


終盤と見通し

取引終了時点で、ブレント原油は 65.90ドル付近、銅は 9,520ドル で取引を終えました。
日中の値動きは「序盤の上昇 → 中盤の反落 → 終盤のもみ合い」という展開で、投資家の慎重姿勢を映し出しています。

今後、市場は 米国PMI指標、OPEC+の発言、および 中国の工業生産データ に注目しています。原油が66.80ドルを上抜ければ上昇再開の可能性がありますが、65.30ドルを割り込むと下落圧力が強まる恐れがあります。

金属では、9,450ドルを維持すれば強気トーンを保てますが、下抜けると9,300ドル水準までの調整が懸念されます。

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投稿者 Watanabe, Kenji

東京を拠点とする経験豊富な金融専門家である渡辺健司氏は、日本の大手証券会社でキャリアを積んだ後、現在は独立系アナリストとして日本株およびアジア市場のマクロ経済分析を専門としています。その鋭い洞察力と分かりやすい解説には定評があり、多忙な本業の傍ら、余暇を利用して invesfeed.com の寄稿ライターとしても活動し、グローバルな視点から個人投資家向けに最新の市場トレンドや投資戦略についての分析記事を執筆しています。

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